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アーティスト・クリエイター支援プログラム「NEWVIEW OPEN CALL 2023」採択アーティスト4組を決定

株式会社Psychic VR Lab(東京都新宿区)、株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区)、株式会社ロフトワーク(東京都渋谷区)による共同プロジェクト「NEWVIEW(ニュービュー)」は、XR表現を探求するアーティスト・クリエイターを支援するプログラム「NEWVIEW OPEN CALL 2023」の公募を2023年8月4日(金)〜2023年9月4日(月)まで行い、審査員でメンターの宇川直宏氏の審査の結果、4組の採択アーティスト・クリエイターを決定しました。

 


インディペンデント・キュレーター李静文による、ひとつのバーチャル空間で4人のアーティストがデジタル彫刻を創作するプロジェクト、アーティストのノガミカツキによる、VRヘッドセットを装着した生身のプレイヤーとVR上のアバターとの身体の支配関係を探るパフォーマンス、アーティストの伊藤道史 + 松本悠の2人による土着の神話や記憶の体験を探求するプロジェクトと、3組の新たなリアリティの獲得を目指す意欲的なチャレンジが採択されました。

 

また、当初3組の予定でしたが、審査において、商業施設内で階や店舗ごとに本来とは異なるBGMをARを使って提供するというkengoshimizのプロジェクトが高く評価され、特別に4組目として採用することが決定しました。

 

4組は、「NEWVIEWアソシエイト・アーティスト」として、企画の具体化と発表、創作プロセスの公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、最終成果を2023年12月に開催を予定するXRの祭典「NEWVIEW FEST」で発表します。

NEWVIEW OPEN CALL 2023
https://newview.design/opencall/


NEWVIEW OPEN CALL 2023 採択アーティスト・クリエイター

募集テーマ1:ワークショップなどを通じて社会的な運動として拡張するプロジェクト型の作品

 

李静文
《The Colossus on AIR》

一つのStyly空間で4名のアーティストがそれぞれ2週間ごとに連続してこの空間で制作する。制作内容を問わず、次のアーティストによって上書きや再制作されることを前提として、この空間を一つの巨像として創り上げる。デジタル彫刻研究の一環として、最終的に研究成果展を行う。現実世界のような有限性を提示し、限られたデジタル空間での変遷を公開し、デジタル巨像の在り方を問う。

■アーティストプロフィール

李静文
インディペンデント・キュレーター

李は、作家、企画者、研究者などとして幅広い分野で活躍し、芸術団体の運営及びコレクティブのメンバーとして現代アートを多面的な視点から捉え表現している。彫刻のバックグラウンドとメディア理論研究者の視点を融合し、独自のキュレーションでポストメディア時代のアートシーンを牽引することを目指している。

 

募集テーマ2:新しいカルチャーシーン形成を目指す、音楽、映像、パフォーマンス領域の表現開発

 

ノガミカツキ
《Virtual Domination》

VRヘッドセットを装着した生身のプレイヤーとVR上の彼のアバターとの、身体の支配関係を探るパフォーマンスです。スマホを見ながら歩く、デスクトップの前で同じ姿勢でいる、スマートスピーカーにわかりやすい様に話すなどの、デジタルテクノロジーによって制限された振る舞いから、身体を解き放ちます。特に仮想現実では、身体の所有権によって強い没入感を得られます。VR後に報告されている現実の肉体の所有感覚の欠如、バーチャルが新しい現実となる世界の認識の変容など、VR以降のアイデンティティへの影響について言及しています。汗をかかないアバター、怪我をして疲弊していく物理的な身体、それらの比較から自分の肉体の重要性を取り戻す試みです。

著名な哲学者モーリス・メルロー=ポンティはかつて「身体は私たちが世界を持つための一般的な媒体です」と述べました。将来的に、毎日スマホでボディスキャンを行うヘルスケアやアバター生活が進んだとしても、唯一無二の自分の身体で世界を捉える感覚、自己のアイデンティティが喪失してしまう可能性があると考えるからです。

■アーティストプロフィール

ノガミカツキ
アーティスト

現在オーストリア在住リンツ芸術デザイン大学インターフェースカルチャーに在籍
2018年モントリオールのコンコーディア大学Topological Media Labの客員アーティストとして在籍。ベルリン芸術大学オラファーエリアソンゼミに交換留学。
武蔵野美術大学卒業。
大阪北加賀屋に千島財団が主催管理のパブリックワークを恒久設置。
千葉県のものづくり施設MONOWにパブリックワークを恒久設置。

募集テーマ:新しいカルチャーシーン形成を目指す、音楽、映像、パフォーマンス領域の表現開発

 

kengoshimiz
《ARHRC(AR Hacking Radio Center)》

ARHRC(AR Hacking Radio Center)は、商業施設内で階や店舗ごとに本来とは異なるBGMをARを使って提供するプロジェクトです。主流なAR体験手段はスマートフォンですが、画面サイズによる制約があります。これに対して、ノイズキャンセリングイヤホンは「音のオーバーレイ」による新しい体験の提供が可能です。ARHRCは、このイヤホンの特性を活かし、各階、各店舗で独自のラジオ番組やBGMをARを通じて提供します。インディペンデントな文化の普及と、多様な店舗体験の実現、商業施設周辺の特別な情報や先行リリース番組など、様々な展開が可能です。

■アーティストプロフィール

kengoshimiz
作曲家、日本伝統音楽研究者

kengoshimizは、1996年生まれのアーティストです。kengoshimizの作品制作は「構造」と「体系」に着目することから始まります。 現在、主に日本の伝統音楽の作曲システムの研究と創作を行っています。日本伝統音楽には音階論やリズム論はありますが、具体的な作曲理論がありません。 その部分を解明することによって、過去の日本伝統音楽の構造解析や、新しく日本伝統音楽から発展した音楽を作り出すことが可能になると考えています。

 

 

募集テーマ3:新しいリアリティの獲得について文化人類学、民俗学、社会学、心理学などの視点で探求するリサーチベースの作品やプロジェクト

 

伊藤道史 + 松本悠
《Un-Understandable Undermine / 漂在、憑在の了解不可能性 (仮) 》

共同体の枠組みの漂流性・憑在性を、見逃され忘れられるものたちの存在と、見逃される忘れられた土地によって表現する。土地に潜む喪失者らの足取りや顔つきと、土地自体の喪失や足取りによって、鑑賞者の「足」の喪失可能性を喚起させ、同時に、透明な身体となった鑑賞者が歩み始める場所。それはVRのプレイエリアとして実際に歩行ができ、地面に紐づく神話や記憶を体験する足場にする。
展示ではVRパススルーによって外にいる人を見ることを漂流者/憑在者の発見とし、外の人もVR視聴者を漂流者/憑在者として眼差し会う空間を構築することを構想している。

■アーティストプロフィール

伊藤道史 + 松本悠
アーティスト

伊藤道史と松本悠はアーティスト。2016年から共に活動をしてきた。
伊藤はHMDや既存のVR像をVRによって宙吊りにするVRを実践。東京藝術大学大学院 映像研究科 メディア映像専攻在籍。
松本はVRから制作を始め、現在はCGのように造形的な作用を写真に施す制作を行う。情報科学芸術大学院大学 博士前期課程在籍。

伊藤 道史

VRを用いて、私たちとこの世界が別のあり方で開かれた思弁についての制作と研究を行う。CGや詩作と、VRやドキュメンタリーの手法を行き来し、世界と「私」の可塑性を模索する。現在は特に幻想の地面・地平と、その上で扱われる根拠律や座標系をモチーフに制作を行っている。東京藝術大学大学院 映像研究科 メディア映像専攻在籍。
https://onl.bz/xKd7d1s

松本 悠

美術家。1997年大阪府泉佐野生まれ。過去には、行方不明者や身元不明遺体などをモチーフにした作品を発表。VRから制作を始め、現在はCGのように造形的な作用を写真に施す制作を行う。

 


NEWVIEW OPEN CALL 2023概要

「NEWVIEW OPEN CALL」は、2018年よりXR表現を探求する活動を続けてきたNEWVIEWが、2023年に新たに設立したプログラムです。新しいリアリティーの視点獲得・創造・共有につながる作品を以下の3テーマで募集し、各テーマ毎1組を採択。アーティスト・クリエイターに新たなリアリティのあり方を提示する創作活動の機会を提供し、そのプロセスとアウトプットを社会へのインストールすることで、文化・ライフスタイルを新たにする表現・探求・運動の創造を目指します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000209.000023281.html

 


OPEN CALLのステートメント

現実が仮想を模倣する。
一見してこれは奇妙な言葉だろう。仮想が現実を模倣しているのではないか? しかし、翼を読みかえて飛行機を生み、旬の果物で得られる甘味をお菓子にして時間を止めたように、非連続的な発明や文明の発展は、想像の世界を現実に落としこみ、ヴァーチャルを実装してきた積み重ねにより成り立つ。デジタルの有無に関わらず、ヴァーチャルなリアリティこそが現実を拡張する。

街中のホログラム、スマートフォン越しのAR、乱立するデジタル国家……thisもthatもnowもthenもなく、人々が紡ぐ想像力と仮想がお互いの世界を拡張し合い、同じリアリティの中に存在することが可能になった時代。NEWVIEWもこうした流れの中で生まれ、デジタル空間と現実の間で、いかに世界を読みかえることができるかに挑戦してきた。それは個々人をそれぞれのリアリティにログインさせることだったとも言える。

NEWVIEWが次に多くの人々をログインさせたいのは、社会そのものだ。社会に仮想を立ち上げ、新しい視点を加え、現実そのものを拡張したい。混沌とした世界に道標を、より良い未来を引き寄せるヴィジョンを。システムも国境も、すべては誰かが描いた物語。なのであれば、NEWVIEWから生まれる物語を次々と社会に実装していこう。

 

■募集テーマ:
・募集テーマ1:ワークショップなどを通じて社会的な運動として拡張するプロジェクト型の作品
・募集テーマ2:新しいカルチャーシーン形成を目指す、音楽、映像、パフォーマンス領域の表現開発
・募集テーマ3:新しいリアリティの獲得について文化人類学、民俗学、社会学、心理学などの視点で探求するリサーチベースの作品やプロジェクト

 

■メンター・審査員

宇川直宏 / 現在美術家(DOMMUNE)

1968年生まれ。映像作家/グラフィックデザイナー/VJ/大学教授/文筆家そして”現在美術家”など、幅広く極めて多岐にわたる活動を行う全方位的アーティスト。1980年代末にグラフィックデザイナー/映像作家として頭角を表し、2001年ニューヨークのMoMA PS1での「Buzz Club: News from Japan」、ロンドンのBarbican Art Galleryでの「JAM: Tokyo-London」に参加して以来、国内外の数多くの現代アートの展覧会で作品を発表。2010年3月、突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数を叩き出し、国内外で話題を呼び続けている。宇川はDOMMUNEスタジオで日々産み出される番組の、撮影行為、配信行為、記録行為を、自らの”現在美術作品”と位置づける。

これまでDOMMUNEは数々の現代美術の国際展に参加し、ロンドン、ドルトムント、ストックホルム、パリ、ムンバイ、リンツ、福島、山口、大阪、香川、金沢、秋田、札幌、京都、佐渡島…と、全世界にサテライトスタジオをつくり、偏在(いま、ここ)と、遍在(いつでも、どこでも)の意味を同時に探求し続けている。2019年11月22日、渋谷PARCO9階のクリエイティブスタジオに移転。そして2020年開局10周年を経て、第二章に向けてWEB3.0以降の最前衛テクノロジーと共に未来を見据えたUPDATEを図り、ファイナルメディア『DOMMUNE』の進化形態『SUPER DOMMUNE』へと進化した。2021年、令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞 受賞。2023年、練馬区立美術館で、12度目のDOMMUNE展「宇川直宏展|FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE」が開催。Rhizomatiksとのコラボにより、DOMMUNEオリジナルモデルのジェネレーティブAIを創生し“描く”という行為の歴史的なアップデートを図る。

■主催:NEWVIEW PROJECT

 


NEWVIEWについて

3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザインを開拓する実験的プロジェクト/コミュニティーとして2018年1月始動。多様なジャンルのアーティストと実験的作品を仕掛け、新たな表現を社会提示する活動のほか、「NEWVIEW AWARDS」、xRを総合芸術として学ぶアートスクール「NEWVIEW SCHOOL」を展開し、次世代クリエイターの発掘・育成・交流・発信を行っています。
Web:https://newview.design/

◉お問い合わせ: NEWVIEW OPEN CALL 2023 事務局
info@newview.design

画像やロゴなどが入ったプレスキットは以下よりご確認ください。https://bit.ly/45gDmsl