2025年8月28日(木)、イマーシブコンテンツ・ソサエティが主催するイベント『Immersive Dark Night vol.6 -3D立体映像を考える-』が開催され、STYLY・アーティスト・伊藤道史氏のアート作品『Lost Items ver.Immersive Dark Night feat.STYLY』を含むイマーシブコンテンツが展示されました。グローバルアワード受賞作をベースに、ヒビノの3D対応LEDディスプレイ・システム「Immersive LED System」と組み合わせた特別演出は、XR表現の未来を体感させるものとなりました。
本作は、グローバルクリエイティブアワード「NEWVIEW AWARDS 2024」において審査員賞の2部門「Gerfried Stocker PRIZE」「Lu yang PRIZE」を受賞したAR作品を、本イベントに合わせて立体視LEDと組み合わせて体験できるようにしたアート作品です。
【キャプション】
「落とし物たち」が、鑑賞者の上方や周囲に広がり、地面に転がる私たちを見下ろしている。地面に転がる私たちを、彼らもまた見ている。そこにいる私たちや、渋谷自体も、落し物/忘れ物のように思えてくる。
渋谷を歩いて見つけたのは、たくさんの「落とし物」だった。昨晩の記憶を留めたような空き缶や食べ物、保険証や免許書、プリクラなど、プライベートな情報、故意に捨てられただろう粗大ゴミ、中に何が入っているのか不明なトランクケース、ネズミの死体。
この地面は覚えているのではないか。その上に降り積もった全ての足跡や、すべての埃や枯れ葉の堆積。誰かが床に寝そべったこと、車が走ったこと。365日のうち、いくらかの日に降り注いだ雨や雪。地下水道や電線が張り巡らされたこと。ここに川があったこと、火山活動。その全てを。
地面がレコーダー(記録媒体/記録媒体)としてこちらを見ているのだ。
渋谷の3DCG、渋谷で撮影した写真を肌理としたオブジェクトたちが、渋谷の街であなたたちの前に現れる。「しぼんだ谷」が語源のひとつという説のある渋谷で、彼らは揺蕩っている。
情報がカオティックに私たちを取り囲む時代に、私たちはまるで自分たちが落とし物になったかのように思える。行方不明な存在、周りに気にも止められない存在として、都市をただよう私たちに、落し物は眼差しをむけている。
【アーティスト】
▼伊藤道史
アーティスト/RAMI_ARTSTUDIO ディレクター・キュレーター
東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。感覚や世界認識の体系を組み替え創造する芸術のあり方を、VRや詩を用いて探究する実践を行う。
主な展示に、個展「./MYTH.YOU」(NEUU、2025)、巡回展「GROUNDS RENDERER」(デカメロン/表参道ヒルズ/代官山ヒルサイドテラス/NEUU/PARA神保町/東京藝術大学、2024)
主な受賞に、NEWVIEWAWARD2024 審査員賞Gerfried Stocker賞、Lu Yang賞。主な掲載に「ユリイカ2025年8月号 特集=佐藤雅彦」。文化庁・経産省のアーティスト支援複数採択
▼アーティストコメント
あの体験感を簡単に言葉にできません。ARとミクストメディアを掛け合わせた表現の誕生に痺れました。幅20m超えの3D対応LEDディスプレイ・システムでは、映像が10mほどの奥行きがあるように体感でき、そこに重ねてARを表示すると、まさにARの3Dオブジェクトの中に入っていけるようでした。これまで制作の中でトライしていた「床や地面のヴァーチャリティと、その上に立つ自分たちの不確かさ」という主題に対しても、VRやARのみでしていた表現をさらに深めてくれるものでした。そういえば、三十三間堂など、人間を複数の時空間に誘う名刹の体感が好きだったんだなと、自身の表現の根源が思い出された、大変貴重な時間でした。
【イベント主催者コメント】
渡邊 徹
イマーシブコンテンツ・ソサエティ ボードメンバー
VR作家 / 株式会社コンセント 渡邊課
ヒビノさんのImmersive LED Systemはいきなり没入感マックスな状態を作れる装置だなと感じました。そう感じたのは、VRゴーグルの視野角に支配されない目の前に広がる景色だったからです。そんな空間で、伊藤さんの作品の中に入るような体験はまさにデジタルなものに物質感を感じる瞬間でした。触ることはできないのですが、体で目の前にあるというのを感じるものでした。
イマーシブな演出は、大型のスクリーンやマルチディメンション、HMDなど様々な領域を横断して語られていく必要があると思っており、Immersive Dark Nightはまさにそういう場所として機能していくことを考えておりますので、ぜひみなさんもジョインしてください。
当日イベントでは、3D立体映像の仕組みや歴史的な背景などの解説の他、3D立体映像をさまざまな角度から体験したり、クロストークによって多角的視点で表現について語られました。
詳細なレポートはぜひこちらをご覧ください:https://www.immcon-society.net/?p=1832
・主催:イマーシブコンテンツ・ソサエティ Immersive Content Society
・共催:IPUT東京国際工科専門職大学 工科学部 デジタルエンタテインメント学科
渡部健司研究室 MIRAI LABO.
https://master.digital-campus.info/
株式会社コンセント 渡邊課 渡邊 徹
https://www.concentinc.jp/solution/watanabe-ka/
・協力:NEUU XR Communication Hub(小田急電鉄株式会社)
ヒビノ株式会社 ヒビノビジュアル Div.
https://www.hibino.co.jp/visual/
・撮影/音響/配信:IPUT東京国際工科専門職大学 工科学部 映像研スタッフ
なお、10/29には『イマーシブ・ダークナイト』vol.7 開催決定しています。併せてぜひご確認ください。
https://www.immcon-society.net/?p=1659
Immersive Content Society(イマーシブコンテンツ・ソサエティ)は、イマーシブ(没入型)コンテンツの価値を社会に広げ、新たな文化の基盤を築くことを目的とした団体です。業界の第一線で活躍するプロフェッショナルから学生まで幅広い層が参加し、交流や研究、作品発表を通じて次世代の表現手法を探求しています。
高解像度、高精細、180/360°VR、MR、XR映像、展示イベント、ミュージアム、ドーム映像、IMAX大型映像、3D立体映像、マルチビジョン、バーチャルプロダクション、ライブ映像、プロジェクションマッピング、など。今までのくくりに収まらない新しい映像体験、ビジュアル体験などの新しいコンテンツをイマーシブコンテンツと呼び、捉え直していきます。
https://www.immcon-society.net/
株式会社STYLYは、デジタルとフィジカルを繋ぐ空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を提供する会社です。「人類の超能力を解放する」ことをミッションに掲げ、XR/空間コンピューティングを主軸としたテクノロジーにより、ランドオーナーや街づくりに携わる皆様に対して空間プロデュースやソリューション提供を行っています。
今後も世界中のクリエイターや事業者と共に、ヒトや企業の創造する力、クリエイティビティを解放し、新たな文化・産業の創出によって人類の進化に貢献することを目指しています。
公式サイト:https://styly.inc/ja/
3次元空間での新たなクリエイティブ表現と体験のデザインを開拓する実験的プロジェクト/コミュニティとして、2018年1月に始動。ファッション、音楽、映像、グラフィック、イラストレーションなど、都市空間におけるカルチャーを体現するクリエイターとともに、リアルと空想を越境する次世代のカルチャー/ライフスタイル体験をデザインする実験を仕掛ける。国内外でのレクチャーやミートアップを通じて次世代のXRクリエイターの発掘・育成・交流を推進。
公式サイト:https://newview.design/
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